御曹司と偽装結婚はじめます!
「へぇ、偶然。ここのマンション、宮城不動産が手がけてるよ」

「そうなんですか? 知りませんでした」


おそらく私が入社する前だろう。


「で、隣は宮城さん」

「えっ? 宮城さん?」


どういうことなのかわからず聞き返すと、「君のところの親会社の次期社長って聞いてるけど」と言われて、また口をあんぐり開ける羽目になった。

そんな偶然、びっくりだ。

まぁ、そんな雲の上の人、私には関係がないけど。


「それで、彼氏はいないんだ?」


仕事の話からいきなり飛ぶから、キッシュを喉に詰まらせそうになった。


「はっ……。香川さんこそ、彼女は……」


私は返事をすることなく聞き返した。
おそらく彼もいないとわかって聞いているのだろう。


「結婚しろって周りはうるさいけど、まぁ、そこまでのめり込めそうな女はいないというか……。だから、なし」
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