暁天の星


妃那を椅子に座らせてチャチャっとご飯を作る。


その間、ハルは一言も喋らず菫を抱きしめてた。




「里香ちゃん、準備できた。」



ランドセルを背負ったナツと制服姿の颯太。


正直、颯太の支度をナツが手伝ってくれて助かった。



火を止めて、颯太の曲がってる黄色い帽子を直す。




「リカ、すみれは?」



妥当な質問だ。


しゃがんで颯太と目線を合わせる。




「颯太、今日は1人で幼稚園行ける?」

「すみれは?」

「今日は颯太だけなの。」

「うーん…。」



イマイチ意味を理解できてないかもしれないけど、何とか頷いてくれた颯太の頭を撫でて抱きしめる。



「よーし!里香のパワー颯太に分けてあげる!ぎゅ〜!」

「リカ、苦しい…。」



そう言いつつ、首に回ってくる柔らかい腕が愛しいよ。


離れた颯太がなんだか逞しく見えて、椛みたいな手が握り返す温かさにホッとした。



「リカにもパワー分けてあげる。」

「えっ、大丈夫だよ?」

「いいの。だってオレすごーく強いから。」



歯が一本も生え変わってないチビちゃんだけど、あたしより何倍も大人だよ。





「菫〜?」



晃と話してたリュウがリビングに戻ってきた。


寝てると目配せしても、リュウが携帯を置くことはなかった。




「ハル。」



そう言って携帯を差し出す。



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