暁天の星


【里香】


「ねえ、まだ?」

「まだ。」



かれこれ20分はこの場所にいる。


いや、30分か。




「カッコいいよな〜、サイは。超カッコいい。」



そう、サイだ。


もうサイと30分も顔を合わせている。



何が好きな理由なのかは分からない。


ただ、晃は昔からサイが好きだった。



「おい、まだ?」

「まだまだ。」

「まだまだじゃねーよ、サイも休ませてやれよ。」



痺れを切らしたハルが晃に声をかけるけど、そんなことで晃は動かない。


晃が1番好きな動物だから問答無用で全員この場にいるけど、飽きてる菫達は近くを走り回って楽しそうに手を広げる。



「キャーッチ!」


走ってリュウの腕の中に飛び込んだ菫。



リュウもがっちり受け止めて菫を持ち上げるとそのまま旋回する。


アイスを食べながらそれを羨ましそうに見てる颯太が愛しいと思った。





ああ、でもね、そんな余所見してると…。



ボトッ。




「あ!」

「冷てえ!」




< 80 / 135 >

この作品をシェア

pagetop