暁天の星


傾いたアイスクリームは宙を舞って隣に座ってたハルのズボンに落ちた。



「アイスが!!」

「アイスじゃねえだろ!ズボンだろ!」



颯太からしたらとんだ一大事だから、晴都のズボンのことなんて考えられないんだろう。


だらだらとだらしなく溶けたアイスを見つめる颯太と咄嗟に突っ込んでいる晴都が対照的だ。




「ハル、これで拭いて。」




すぐさま颯太を挟んで座ってた那月がハンカチを差し出す。




「…いい。晴れてるからそのうち乾く。」




那月の好意で渡されたハンカチをハルは受け取らない。なんて不器用なのだろう。


那月はそんなハルの言葉を無視してグリグリとズボンを拭いた。




「おい、汚れるって。」

「いいんだよ、そのためのハンカチでしょ?」




素直にありがとうと言えない晴都を見つめた颯太が、那月の顔を覗き込む。




「ナツ、ありがと。」

「…どういたしまして。」




ニコッと笑う颯太に那月も嬉しそうな顔を向けた。





太陽の光を浴びた3人がこんな言葉を交わしたこと、いつまでも覚えていたいな。



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