暁天の星


ずっと抱っこしていた妃那が急に降りたがった。


下に下ろすと、3人の元へ一歩ずつおぼつかない足取りで向かっていく。




楽しそうに見えたのかな。





「おっ、妃那。里香の所飽きたか?」



笑って妃那に問いかける晴都に、後ろ姿を見送っていたあたしは視線を飛ばす。




「でも俺ベタベタなんだよ、抱っこは那月にしてもらえ。」




ハルは那月を指差す。


妃那は那月へとゆっくり視線を向けた。




大きな瞳が那月を映している。




あたし達の中で唯一妃那は人見知りをする子だった。



知らない人には自分が気を許した相手にしか抱っこもおんぶもしてほしくないとばかりに泣いてアピールをする。





それを知っているからか、那月も近すぎない距離を保とうとしてくれていた。



でも那月のことを、妃那はもう家族だと認識してるんじゃないかな。


とっくの前に。




だって晃が連れてきた子だから。




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