暁天の星


「次何が見たい?」



ようやくサイから別の場所に移動することになった。


地図を持って先頭を行くリュウの投げかけた質問に、誰もうまく答えられずにいる。




晃もサイを見尽くして満足したみたいだし。



さっきまでサイの前に長いこといたから、みんな動物よりもお腹が空いてるようで。




「飯がいい。」



というハルの一言で、目的地はご飯に変わった。





「じゃ、里香、那月。頼むぞ。」



そう言い残し、晃はリュウとハルを連れてご飯の調達のためへと奥の方へ消えて行く。



フードコートで各々選んだお昼ご飯を晃達3人が散らばって買ってきてくれるまで、僕は里香ちゃんと菫ちゃん達3人の面倒を見ていたわけだけど。




僕も行くよ、なんて提案はこういうのは大人の男に任せろという晃によって遮られた。






「まだ小学生だからね、行かせるの晃も心配なんだよ。」



里香ちゃんはそう言いながら、お手拭きを僕に渡す。





「菫、お手てちゃんと拭こうね。」

「颯太!見てぇ、カエル〜。」



手でカエルを作って必死に颯太に見せようとする菫ちゃん。



「菫、いいから手貸して。」

「颯太もやって!」



無視してグイグイ菫ちゃんの手を拭く里香ちゃんに笑いを堪えながら、きちんと手を揃えて差し出す颯太の手を拭いた。



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