暁天の星
太陽が消えた。
夕焼け空だけ残して。
菫と颯太に振り回されつつ、ずっと笑ってるリュウが遠くに見えた。
すぐそこにいるはずなのに、そんなに遠くなんてないのに、襲ってくる暗闇があたし達の距離を引き延ばしてしまうの?
お願いだからあんまり遠くに行かないで。
「ねえ、ハル。リュウはもう分身みたいなものだと思っちゃってるよ、あたし。」
こんなこと言わなくたってハルは分かりきってることかな。
あたしの不意な言葉に、ハルは眉を寄せた。
「何?急に。」
「ほら、さっき言ってたじゃない。リュウに見惚れてたの?って。」
怪訝そうな顔をしてることは横を見なくても分かるよ。
「リュウだけじゃない。みんなのこと、ちゃんと見ておかないと不安になるだけだよ。」
「なにそれ。」
「…なんだろうね。」
自分でもよく分からないけどさ。
どの瞬間も見逃したくなんてないじゃない。