暁天の星


「意味不明。」



オイ。



すごくシンプルに伝えたつもりでも、ハルは変わらずハルだった。


相変わらず憎たらしさは消えない。





「一刀両断だなあ。」

「見惚れてたとかどうかなんてどうでもいいんだよバァカ。」

「聞いてきたのハルじゃん。」

「お前はなんも分かってねえなあ。」




重かったのか、寝てる妃那を起こさないようにあたしに預けてきた。


ハルはあたしの肩に腕を置いて続ける。




「あのな里香。お前みたいなナメられやすい奴はうかうかしてると取られちまうんだよ。」

「どういうこと?」



痺れを切らしたようにハルは舌打ちをした。




「いつまでも分身〜、とかアホなこと言ってられねえぞってこと。」

「意味不明。」




ハルに言われたことをそのまま返してみたのに、言い返してやったぞ!なんて勝った気分にはなれない。


悔しいけど。





鈍感な返事しかしないあたしはハルのことをイライラさせただろう。


その証拠に白々しい目でこっちを見てくる。




「リュウは元から誰のものでもないよ。リュウはリュウなの。ただ、あたしが手を離せないだけで。」

「そうか?」

「そうだよ。」



ハルが妃那を腕に収めた。


重いって気遣いをあたしは普通に受け入れている。



ハルもそれを普通にやってる。



それがナチュラルにできることが大事なことだってハルは知ってる?




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