新・鉢植右から3番目


 彼にしてはえらく気の利いた方法で私に告白をしてくれたので、ここに目出度く戸籍だけでなく実態も伴った夫婦が誕生した。ひゃっほ~う!

 それから約一年後、これまた神様は、仕方ないからもうちょっと引っ付けようと思ったらしい。きっと仕事にはうるさい神様だったのだろう。どうせやるなら後始末までって考えたのかしらね。

 とにかくもう一度、ぱんぱかぱーん!何と、私が妊娠した。

 そりゃ人間だって動物なんだから、することしてりゃあ子供は出来る、それはよく判っていたけれど、不倫という人様には威張れない過去がある私は勝手に業を背負っていると思っていて、かなり驚いた。え、私、母親になっていいの?みたいなね。

 我が家にもコウノトリさんは来てくれることにしたらしい。

 因みに、口を開けば面倒臭いという、世紀のダレ男、うちの漆原大地という夫は、妊娠にも驚かなかった。いつもの通り、私だけが一人でバタバタして混乱していただけだった。

 ヤツはこれから先に決定事項となってしまった引越しや諸々にうんざりし、面倒臭く思ったらしい。そこで一念発起して珍しくせっせと行動をし─────────なあああああ~んと、土地を購入してくれたのだった。

 土地だよ、土地!この日本のある場所が、名実ともに、漆原大地のものになったんだよ!

 あの感動した夜は忘れない。

 私の実家近くに買った土地に、自分の好きな家を建てたらいい、と言ってくれたのだ。

 庭も。

 私がずっと欲しがっていた庭も、作ったらいいと。

 何て素晴らしいことだ~!!


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