プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「綺麗だなって、素直な感想。……祐希が女の人のことを呼び捨てにするの、初めて聞いた」
祐希が小さく「え?」と言いながら私を見る。
「丁寧口調でもないし」
「同期ですから」
「……それだけ?」
思わず問いただして、ハッとする。
「――あ、ごめん。変な意味じゃないの。なんか珍しいなーって思っただけだから」
なんとか誤魔化した。
『同期でもあり彼女でもある』と言われるのを回避したかったのか。
つい吐露した心の内を隠したかったのか。
……どっちもかもしれない。
ただ、これだけははっきりしている。
何年も一緒に暮らしている私より、同期入社の涼香さんとのほうが親しいということ。
あーもう! 私の頭の中も心の中も、ごっちゃごちゃだ。
急に訪れた自分の中の変化に、全然対応が間に合わない。
「ひと口ちょうだい」
ウーロン茶で流しきれないモヤモヤは、ビールの苦さなら流せるかもしれない。
「――日菜子さん!?」
祐希の阻止から逃れてジョッキに口を付ける。
彼との間接キスを避けるために、持ち手の反対側を選んだ。
そして大嫌いなビールは、やっぱり不味かった。