プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
◇◇◇
翌日の朝、祐希はジョギングに出てこなかった。
朝食にも顔を出さなかった。
雪さんによると、朝早くから仕事に出たそうだ。
出勤した私のデスクには、『七号店に行きます』というメモが走り書きで置かれていた。
涼香さんのところだ。
今日の予定には入っていなかったはずなのに。
昨夜の私との未遂で芽生えた、涼香さんに対するうしろめたさを消すためか。
大きなため息を吐くと、隣の美月が「朝からどうしましたか?」と笑顔をよこした。
「あ、もしかして新店のオープンイベントがまだ決まらないんですか?」
そういえばそうだった。
私に案を練るように指示があったわけではないが、ここ最近の祐希の悩みの種のひとつでもあった。
「違うんですか? 別の悩み?」
即答しないでいると、美月に突っ込まれた。
「あ、ううん。そうそう。どうしようかって真壁さんもまだ迷ってる」
「そっか。オープンまであと少しですから、気合入れて取り組まないと」
「……だよね」