プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

頭を切り替えなくては。
プライベートなことを引きずったままでいたら、祐希に呑気なお嬢様だと笑われてしまう。


「ちょっとコーヒー淹れてくる」

「私の分もお願いできますか?」


美月のお願いに快く頷き、部署内にあるセルフのコーヒーコーナーへ向かった。

するとその途中、思わぬ人と出くわした。
ギクリとした。
涼香さんだったのだ。

私の顔を覚えていたらしく、「おはよう」と声をかけてきた。


「……おはようございます」


挨拶を返すと、彼女はフロア内に視線を泳がせた。
たぶん、祐希のことを探しているんだろう。
完全なる入れ違いだ。


「真壁さんなら七号店のほうへ……」

「え!? そうなの!?」


彼女が残念そうにする。

『きっと涼香さんに会いに行ったんです』とは言いたくなかった。
勝負にもならない負け戦だ。

< 135 / 260 >

この作品をシェア

pagetop