プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
頭を切り替えなくては。
プライベートなことを引きずったままでいたら、祐希に呑気なお嬢様だと笑われてしまう。
「ちょっとコーヒー淹れてくる」
「私の分もお願いできますか?」
美月のお願いに快く頷き、部署内にあるセルフのコーヒーコーナーへ向かった。
するとその途中、思わぬ人と出くわした。
ギクリとした。
涼香さんだったのだ。
私の顔を覚えていたらしく、「おはよう」と声をかけてきた。
「……おはようございます」
挨拶を返すと、彼女はフロア内に視線を泳がせた。
たぶん、祐希のことを探しているんだろう。
完全なる入れ違いだ。
「真壁さんなら七号店のほうへ……」
「え!? そうなの!?」
彼女が残念そうにする。
『きっと涼香さんに会いに行ったんです』とは言いたくなかった。
勝負にもならない負け戦だ。