プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
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その夜、祐希は夕食にも顔を出さなかった。
清美おばさんの“政略結婚”の話は留まるところを知らず、『どこで会う?』『やっぱりこういうときは着物かしらね』と自分のことのようにはしゃいでいた。
私はといえば、それに頷くか首を横に振るかの反応くらいしか返せなかった。
ぐったりして部屋に戻ると、すぐさま雪さんがコーヒーを淹れて持って来てくれた。
珍しく私の隣に雪さんが腰を下ろす。
「ピンクブルボンでございます」
「ありがとう」
雪さんは自分の分も淹れてきていた。
ふたり揃って口をつけ、ひと口飲み干すと同時に『ふぅ』と深い息を漏らす。
あまりにも息の合った仕草に揃って笑った。
「ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか」
雪さんが突然改まる。
腿の上に両手をきちんと揃え、背筋もピンと伸ばしていた。
「うん、なあに?」
「昨夜のことでございます」
ドクンという心臓の音が、これほど身体中に響いたことはない。