プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

それは祐希がこの家に来てからずっと変わらないことだった。

宿題でわからないところを質問すれば、小学六年生相手だろうが「そんなこともわからないんですか? もう一度一年生からやり直してはいかがですか?」なんて淡々と告げるのだから。

きついことを言うのなら、その丁寧口調も止めてしまえばいいのに。
ですます調だからなのか、余計にグサッと胸に突き刺さる。
それでも、最初の頃こそ素直に傷ついていた私も歳を重ねるとともに強くなり、厳しい言葉にもずいぶん慣れたのだけど。


「それで私はどこに配属されるの?」

「社長によると僕のところらしいから、そうなると第二事業本部販売部になりますね」

「第二事業本部販売部……」


ポツリと繰り返しながら、いったいなにをする部署なんだろうかと思いを馳せる。


「祐希はそこでなにをやっているの?」

「営業的なことからマーチャンダイザーのようなことまで」


絶対に違うんだろうけど、私の耳には“まーちゃん、ダサイやー”としか聞こえなかった。
ますますわからない。
あとできちんと調べておこう。

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