プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
私の答えに美月は、今度は逆方向に首を傾けた。
まずは雪さんに聞かなければならないことがある。
ロッカールームでスマホを取り出し自宅を呼び出すと、二回コールで「牧瀬でございます」と雪さんが出た。
「雪さんにお願いがあるの」
『なんでございましょうか』
「五百人分のコーヒーのローストをやってもらえないかと思って……」
電話の向こうで雪さんが息を吸い込む様子が伝わってきた。
雪さんもきっと、五百人分と聞いて面食らっているんだろう。
『五百人分、でございますか?』
念押しで雪さんが尋ねる。
「そうなの。昨夜もちょっと話したけど、お店のオープニングイベントに使いたいと思って」
『ピンクブルボンをですか?』
「うん」
『ですが、それは量的に厳しいかと』
昨夜と同じ答えだった。
でも、まだやってみてもいない段階で無理だと決めたくはない。