プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
◇◇◇
「申し訳ありませんが、取り扱っておりません」
何度このセリフを聞いただろう。
コーヒー豆を置いている店を渡り歩き、時刻は既に午後七時。
かろうじて手に入れたのは、二キロにも満たない。
これでは二百人分にもならない。
はったりばかりで実績はゼロだと祐希に毒舌を吐かれてしまう。
希少価値の高いコーヒーだと、身を持って知ってしまった。
残されたのは、明日のみ。
焙煎する時間も計算に入れると、二十四時間も残っていない。
とにかく、お店が閉まるまでは粘ろう。
棒になった足を気力だけで前に出した。