プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

◇◇◇

「豆集めはどうでしたか?」


出勤早々、美月がおもしろがって私に尋ねる。


「うん、なんとか集められたよ」


オープニングイベントに使うことを彼女に話すと、「そんなに美味しくて珍しいコーヒーなら、仕事を抜け出して私もオープンに行っちゃおうかな」とおどけた。


今朝の朝食は、祐希がいないことでやけに殺風景だった。
祐希がものすごく陽気なわけでもないのに。
夕食のときにいないこともあったのに。
ジグソーパズルのピースがなくなったみたいに、絵柄がポカンと空いているようだった。

清美おばさんにいたっては食欲が全然沸かなく、ほとんどを残していた。
彼を息子のように思っていたのかもしれない。

雪さんは六キロ分の豆のローストをひとりで買って出てくれ、私たちを送り出したあとすぐに作業に取り掛かると張り切っていた。

雪さんだけだった。
いつもと変わらないのは。
もしかしたらそれは、私たちがあまりにも落ち込んでいたから、自分だけは、と気丈に振る舞っていたのかもしれない。

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