プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
どうしようなんて悩んでいる余裕はない。
手を動かさなくちゃ。
「日菜子様、私も手伝います」
「ありがとう!」
雪さんの応援があれば頼もしい。
きっと私の二人分くらいの処理量をこなしてしまうだろうから。
ふたり並んで黙々と作業を進めていく。
雪さんが袋にコーヒーを入れ、私がそこにリボンをかけていく。
流れ作業でやると、予想以上に早かった。
「日菜子様、私はとても嬉しいです」
手は動かしたまま雪さんが言う。
「穏やかにゆったりとお育ちになった日菜子様が、こんなにも逞しくなられて。足を棒にするほど歩いて物事をやり遂げる力をお持ちになっているとは」
雪さんは目を細めた。
言われてみれば、私がこんなに根をつめてなにかに取り組むのは初めてかもしれない。
中学から大学まで一貫教育の女子高。
部活動も規律の緩い文科系のものを選んでいたし、受験らしい受験も経験してこなかった。
習い事にいたっては、苦手だと思ったものはさわりを体験しただけで行かなくなり、きわめつけが就職活動もしなかったこと。