プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
すっかり上がってしまった息を整えながら、祐希を見る。
「ごめん……なさい。タクシーが、渋滞に……はまって……」
「それで走ってきたというわけですか。あんまり遅いから雪さんに電話を入れたんです。タクシーで向かったというのにいつまで待っても来ないから、なにがあったのかと心配で出てきました」
肝心のコーヒーがなければ、オープン直後にお客様に振る舞えない。
大した企画じゃないにしろ、オッケーを出した手前、心配だろう。
「……あの、ね……お店でコーヒーを飲んでもらうだけじゃなくて……」
肩を上下させて酸素をめいいっぱい取り込む。
祐希は急かすことなく私の言葉を待ってくれていた。
「先着百六十人だけなんだけど……買ってくれたお客様に、と思って……」
祐希が持ってくれている段ボールのふたを開け、中から小さな包みを取り出した。
それを見た彼が、なんだろうかと目を見張る。
ようやく私の息も整ってきた。