プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

やっぱり容赦のないことに変わりはなかった。


「社長から、日菜子さんの入社日は一週間後とうかがっていますので」


せいぜい一ヶ月後くらいからだろうと呑気に構えていたから、まさかの大幅前倒しには開けた口が閉じられなかった。


「あんまり間抜けな顔は、会社では慎んでくださいね」

「え……? って、ひどいよ、祐希」


一瞬なんのことかと思ったものの、私の緩んだ口元のことを言っているのだとすぐに気づいた。
表情を慌てて引き締めてから眉尻を下げてシュンとすると、祐希は笑いを堪えるような顔で鼻を鳴らした。


「事実を言ったまでですよ。社長令嬢という甘えは厳禁です」

「……わかってるってば」


あえて言わなくてもいいのに。
祐希は意地悪だ。


「それならばいいでしょう」


どこか満足気に顎を上げて祐希は微笑んだ。

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