プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「牧瀬さんの代わりにコーヒーを担当してくださるとおっしゃってるんですけど……。そうしてくださると、正直助かるわ。ほかのスタッフはみんな手一杯で」
その通り。
だからこそ、私がこの担当を任命されたのだ。
「私が、誰よりも美味しいコーヒーを淹れてみせましょう」
雪さんが変なアピールをするから、涼香さんはクスッと笑った。
「そこまで自信をお持ちなら、ぜひともお願いします。コーヒーもとても喜ばれていますから、ここでやめてしまうのは惜しいので。牧瀬さんは裏で少し休んでください」
そうまで言ってもらえてるのに、頑なに拒否するのも失礼かもしれない。
遠慮なくそうさせてもらった。
店の奥には、従業員がお昼を取ったりすることのできる休憩スペースが設けられている。
四人掛けのテーブルが三つという、決して広くはない休憩室だ。
ちょうどお昼時が近いこともあって、中には数人のスタッフが少し早いお昼を食べていた。
まだ誰もついていないテーブル席の椅子に座り、前に突っ伏す。
少し貧血を起こしているのかもしれない。
脂汗が額に浮いていた。
それを拭う元気すらない。