プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

ところが、そのときだった。
私たちの前に人影が立ちふさがった。

黒い革靴から視線を上にずらしていく。

――祐希だった。

思ってもみなかった顔に、ドクンと鼓動が弾む。


「どうして勝手に帰るんですか」


勝手に帰るもなにも、祐希とは帰る場所が別だ。


「これから牧瀬さんともう少し飲みに行くことになったんですよ、真壁さん」


私の隣に立つ人が言うと、祐希はわざとらしいため息を漏らした。

なんでそんな不躾な態度なのか。
ちょっとした不満が噴出する。


「牧瀬さんは、あなたが気安く触れていいような人じゃありません」


そう言いながら私から男の人を引きはがした。


「なによ、それ」


思わず私が反発する。
それなら私などんな人だというのか。

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