プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「最後にひとつだけいい? 祐希がうちに住んでいることを会社の人たちは?」
「もちろん知りません。ですから、日菜子さんが社長令嬢だということはもちろん、僕のことも内密にお願いします」
やっぱりそうか。
そうだよね。
血族じゃないにしろ社長と関係が深いことが知られると、周りの対応も変わってくるだろう。
仕事がしづらくなる。
「それから仕事中、日菜子さんのことは“牧瀬さん”と呼ばせてもらいますので」
「うん、わかった。あ、でも私が牧瀬と名乗って、社長や専務と同じ名字でも問題ないのかな」
名前を聞いて、すぐに社長と結びつけたりしないだろうか。
「そこは大丈夫でしょう。偶然に社長と同じ名字だという人は、従業員の中にほかにもいますから。日菜子さんも“たまたま”だと言えばいいでしょう」
「そっか」
それもそうだ。
特別珍しい名字というわけでもない。
最初は聞かれるにしても、違うと否定すればそれ以上の追求はないだろう。
「事実を知らされるのは人事部長だけです」
さすがにその人には偽れないか。