プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「そうでしたか……」


切迫早産は喜べないけれど、歓迎してくれるのはありがたい。

それで、この方はどちらさまなんだろう。
様子からして、ここの“長”っぽいけれど。


「あの……」

「おっと自己紹介が遅れましたね」


聞かずとも察してしまったようだ。


「私は第二事業本部の本部長、逸見(いつみ)と申します。牧瀬さんは今日から真壁くんの元で一緒にやってもらいます」


お父さんの言っていたように、本当に祐希と組むみたいだ。

逸見本部長に手招きで呼ばれた祐希が早足でやってきた。
見知った顔の登場で思わず笑顔がこぼれた私と対照的に、彼は眉ひとつ動かさない。

祐希と繋がりがあることはもちろん、社長の娘だと初日からバレるわけにはいかないのだ。
祐希を見習わねば。
改めて表情を引き締める。


「真壁です」


“よろしく”とも言わない、祐希らしいあっさりとした挨拶だった。

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