プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
見るからに真面目そうな人だった。
大きすぎる眼鏡のせいで顔立ちは判然としない。
どことなく地味なところは私にも通じるところがあって、なんだか安心感がある。
「牧瀬日菜子です。ご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします」
「片づける余裕がなくてごめんなさい」
人差し指でちょんちょんとある方向を指しながら言った。
私にあてがわれたデスクのことみたいだ。
「いえいえ!」
両手をヒラヒラと振って恐縮する。
「私物はそんなにないと思いますから、そのまま使って平気だと思います」
「そうなんですか」
「備品類は会社持ち出しなので」
なるほど。
「なにかありましたら声をかけてください」
「ありがとうございます」
髪型のせいか日本人形のように静々とした女性だった。
江橋さんは最後に軽く微笑み、自分の仕事へ戻った。