プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
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その直営店は本社から電車で二十分のところにあるデパート内にあった。
様々なブランドを立ち上げているうちのひとつ、“エンジェルレイン”は二十代の女性をメインターゲットとしている。
今、足を踏み入れたこの店は初めて入ったが、エンジェルレインは私もよく買うブランドだ。
かっちりし過ぎない、それでいてカジュアルでもない、綺麗めなラインが豊富に出揃っている。
月曜日ということもあって、デパート内にお客はまばら、エンジェルレインにはひとりもいなかった。
「おはようございます」
祐希の挨拶に続いて私もおずおずと頭を下げる。
すると、それに反応してディスプレイを手直ししていた女性が小走りでやってきた。
切れ長の目にアイラインをくっきりと描き、ブラウン系のアイシャドウも濃いめ。
長い黒髪をきっちりと後頭部で結んでいる。
意志の強そうな印象を受けた。
「おはようございます。ずいぶんと早い臨店ですね」
女性が私のことを横目で気にしつつ挨拶するのを見て、祐希が「あぁ」といった顔をする。
「今日付で入社した牧瀬です」