プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「類似スタイルで色の変化を付けるとバランスよくまとまります」
今度はふたりが奥の壁のディスプレイへと移動する。
私も慌ててそれについていった。
「VPよりもPPが入店率アップのポイントです。店内のディスプレイが入店につながり、さらに購買決定率にもつながります。店の奥まで回遊してもらえる仕掛けを作ることが肝心です」
VPは確か……。
祐希から渡された専門用語集のページを頭のなかでめくる。
ビジュアルプレゼンテーションだったかな。
商品のイメージをお客様にわかりやすく伝えて購買を促すことが目的で、視覚的要素を駆使した商品の提示だ。
PPはポイント・オブ・セールスプレゼンテーション……だよね。
実際のコーディネート例を示して、周囲に関連商品を置いたりすることだったはず。
仕入れたばかりの用語は、まだ私の脳に馴染まず、言葉がそのまま形でペタッと貼り付いたような状態。
それが頭に入っていることがどうもしっくりこなくて、拒否反応でも起こしてしまいそうだ。
そんな私を尻目に、祐希は開店時間を過ぎていてもお構いなしにディスプレイを変更していく。
仕事中の祐希を間近で見たのは、今日が初めてだ。
次々に洋服の配置を変えては遠目で確認する横顔は、仕事をする男の色気に溢れていて、いつになくカッコいい。