プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
だけど、どうして停電なんて。
雷が落ちたわけでも、嵐がきたわけでもないのに。
しばらくすると目が暗さに慣れてきた。
祐希は私の隣に座っていた。
それが思いのほか近くだったものだから、なんとなくお尻をもぞもぞとずらして距離を取る。
光を奪われると、お互いの存在ばかりが妙に気になるものらしい。
視界が悪くなる代わりに、ほかの五感が研ぎ澄まされる。
『ご自身で手当てなさりたいような素振りもあったんですけどね』
『祐希様のほうがよかったでしょうか?』
雪さんが今朝言っていたことを思い出して、それが余計に祐希を意識させた。
こうなったら、なにか明かりになるものを。
――そうだ。
スマホだ。
どこに置いたかと記憶を遡り、ベッドの上だと思い出した。
片足で立ち上がると、その気配を感じた祐希が「日菜子さん?」と声をかける。
「ちょっとスマホをね」
不便ながらもピョンピョン飛び跳ねてベッドへと向かおうとしたときだった。
たぶん祐希の足だろう。
それに躓いて体勢を崩した。