プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「私のことはどうぞお気になさらず」
雪さんはやわらかく笑って言った。
だけどその目は、どこかこの状況を楽しんでいるようにも見える。
「気にしないでって、どういう意味? ほんと違うんだからね? 変なことしてたわけじゃないの」
こんなに私が動揺しているというのに、祐希は慌てる素振りが微塵も見られない。
ゆったりと上体を起こしたかと思ったら、私の両脇に手を差し入れて持ち上げた。
思わず「ひゃっ」と声を上げたが、それを気にすることもなく冷静に私をソファへと座らせたのだ。
なんて鉄壁の心なんだ。
私をマネキンかなにかと同等くらいに思っているのかもしれない。
少しも動じる気配がないのが、なんだか悔しい。
不意に祐希の手が私の髪に伸びてきたものだから、咄嗟に身構える。
「髪、乾かしたほうがいいですよ」
なんて余裕綽々な笑みなのだ。
それにドキッとする私はどうかしてる。
祐希は私の髪をひとなですると、「それじゃ、おやすみなさい」と私に背を向けた。
ドアのところに立つ雪さんに「あとはお願いします」と言い置き、部屋を出て行った。
目が合った雪さんからとっさに目線を外す。