SaltyTriangle*
教室で瀬戸と2人、机を挟んで向かい合いながらひたすら単純作業に没頭する。
生徒のいなくなった静かな教室に、パチン、パチンという音だけが響く。
「1冊子30秒でまとめられるとして、2人でやったら50分?」
ふと私が言った言葉に、瀬戸が素早く反応した。
「それ一切手を休めずにやった場合な。」
「あ、やべ。ズレた。」
「はい、やり直し〜。時間ロス〜。」
同じ作業をずーっと続けていると、だんだん手元が狂ってくるのは何故だろう。
この作業を始めて10分足らず。すでに精度が落ちて来ている。
これも一種のゲシュタルト崩壊だろうか。
いや、単純な疲労か……。
「あー、眠い。」
「朝からサッカーなんてやってるからだよ。大体、SHR前にサッカーって何時起きよ。」
手の動きを止めて大きなあくびをする私に、なおも手を動かし続ける瀬戸が呆れた顔を向けた。
「いや、違うの。いつも通りの時間に起きたらね、LINEきてて。サッカーやるけど来る?って。だからいつもより30分早く出ただけ。」
「はっ!?それでよく準備間に合うね。女子にとって朝の30分って超重要……」
瀬戸が言葉を途中で止めて、私をまじまじと見つめる。
すると顔からフッと力が抜けた。
「…じゃないか。カヤノだもんね。」
「おい、どういう意味だそれ。」
そんなこんなで無駄話ばかりしていると、作業は全く進まない。
話しながら動かす手は普通に動かす倍は遅いし、度々手を止めて話し込んでしまうから。
気づけば作業を始めてからすでに1時間が経過していた。
1時間でできた冊子は100部。
まだ半分残っている。