SaltyTriangle*
ダンッ、と
机を叩く音が響く。
この教室にホッチキスの音と私たちの話し声以外の音が鳴るのは、実に1時間ぶりだ。
突如私と自らの間にある机に勢いよく手を置いた瀬戸が、ニヤリと笑う。
「……え、なに?」
その不気味とも不敵ともとれる笑みに、わたしは思わずたじろぐ。
「朝言った転入生の最新情報、聞く?」
瀬戸の上がった口角がさらに上がる。
対して私の眉がピクッと動いた。
今、私の興味を最も引く話題だ。
「聞かないわけないじゃん。」
そんな私の反応に満足した瀬戸は、「でしょうね」と言わんばかりに得意げに咳払いをしてみせた。
さっきからちょくちょくスマホをいじってると思ったら、どうやら情報収集をしていたらしい。
情報源はどこなのか、いい加減気になるところもあるが。
「青峰高校出身の女の子で、今年の新入生代表の挨拶をした子らしいよ。しかも噂では、超美人。」
「頭脳明晰、容姿端麗?楓の女バージョンかよ。」
「まぁ実際、噂なんて当てにならないもんばっかだしねぇ。顔は大したことないんじゃない?」
まぁ美人だろうとなかろうと、どちらでもいい。
問題は中身なのだ。
何故なら楓は、確実に面食いではないから。
今まで何人の可愛い子ちゃんがあいつに泣かされたことか……。
楓の興味を引くほどの何かをその子が持っているか、そしてその何かが、楓のまだ眠ったままの感情に火をつけるかどうか。
楓がその子に恋したら、私の出る幕はない。
「どんな子かね。てか、そこまで分かってて何で名前がわかんないわけ?」
「さぁ?最近はプライバシーに関する情報は厳しいのね。」
瀬戸が、とぼけた顔で首を傾げる。
なんて憎たらしい顔だろうか。