SaltyTriangle*
窓から見える空が、次第に雲に覆われていった。
先ほどと比べ外は随分薄暗くなり、ポツポツと水滴が地面を濡らす。
「うわ、降ってきちゃったね。傘持ってないや…。」
「えっ!?」
瀬戸の言葉に初めて雨が降ってきたことに気づいた私は、大げさに窓に振り向いた。
少しずつ降り出した雨は、だんだん量と勢いを増していく。
咄嗟に窓に駆け寄り、ガラスにそっと触れた。
「……うそ。朝はあんなに晴れてたのに…」
「あー、カヤノも傘持ってきてない感じ?だよねー、誰も降ると思わないよ。」
思いの外取り乱す私の肩に、瀬戸がなだめるように手を置く。
だけどそんな事じゃない。
私が焦っているのは、傘を持ってないからじゃない。
「………楓……」
「ん?」
あまりにも小声で呟いたそれは、瀬戸の耳には届かなかった。
私は勢いよく踵を返し、机の横にかけてある自分の鞄を取った。
「ごめん、瀬戸!急用!あと頼んでいい!?」
「…え、ちょっ」
瀬戸の返事を待たないまま、私は勢いそのままに教室を飛び出した。
「あと10部だけなんだから、やってっても良くない?」
そんな瀬戸の愚痴は、全く聞こえていなかった。