SaltyTriangle*


「あー、うん、大丈夫。さっき保護したー。今歩いて帰ってるからさ、悪いんだけどお風呂沸かしといてくんない?」


その発言を隣で聞いていた楓が、私をキッと睨む。

そして一言。


「保護とか言ってんじゃねぇよ。」


はいはい、すいませんね〜。
そんな気持ちを込めて、片手を顔と垂直に立てた。憎たらしい顔芸付きだ。

さらにイラついた様子の楓は、今度は私からスマホを奪い取って自分の耳にあてる。



「あー、もしもし葵?悪いな、心配かけて。」

『かえ兄!本当、心配したよ。梓が血相変えて走ってくからさ。お風呂、かえ兄も入るでしょ?』


真隣にいると、電話越しの声も割と聞こえるものだな。

スマホを奪われたことは気にもせず、そんなことを考えていた。


「そうだな、家帰っても風呂洗わなきゃだし…。頼むわ。」

『了解。どうせ2人ともびしょ濡れでしょ?冷えるから早く帰って来なね。』


そこまで言って、葵が電話を切ったのがわかった。

楓が耳からスマホを離して、私に手渡す。
そしてじっと私を見つめた。


おいおい、今度は何だよ。


「お前の弟とは思えないほどしっかりしてんな、葵は。」

「そうですねー。将来は楓くんみたいな完璧ボーイかなぁ。」


楓の皮肉に対して精一杯の笑顔と嫌味で返してやる。


葵は随分可愛い顔をしている。

中性的な綺麗な顔は、最近少し男らしい顔立ちになってきた。

頭も良い、小3からやってるミニバスではエースでキャプテン。

出来る弟だ。
本人が楓に憧れているため、目指すところはやっぱり楓なのだろう。


「にしても寒いな。朝、暖かかったろ。」

「気温の変動激しい季節だからね。」


傘を持って震える楓の肩を、持て余している両手でゴシゴシとさすってあげた。


< 18 / 27 >

この作品をシェア

pagetop