SaltyTriangle*
パッと目を開けると、そこには見慣れた天井。
我が家の居間にある無駄に洒落たシャンデリア風の蛍光灯。
「あ、起きた。」
目を覚ました私の顔を覗き込む、葵の綺麗な顔。
どうやら、洗面所で倒れてるところを居間のソファまで運ばれたらしい。
「お風呂でのぼせてぶっ倒れるって何なの?バカなの?女子みたいに長風呂するからそうなるんだよ、らしくもない。」
倒れて目を覚ました姉に浴びせる第一声とは思えないほど罵倒されてるんですけど。
ていうか、私女子だしね。
そこは譲らないよ?さすがに。
「うるっさい!生意気。」
まだ少し重たい身体を無理やり起こして、葵のデコに渾身の力でデコピンをしてやる。
「いってぇ、言動だけじゃなくて力もバカかよ。母さん、梓起きたー。」
葵がキッチンに向かって声をかける。
ひょこっと顔を出したお母さんの両手には、ホカホカの白米が入った茶碗がのせられている。
夕飯まだなんだ。
ってことは、意識飛んでたのはほんの十数分ってところかな。
「あんた、いい年してのぼせて倒れるってどういうことよ。もうそんなに軽くないんだから、手間かけさせないでよねー。」
うん。確かに倒れた理由はだいぶ間抜けだけども。
大丈夫?の一言くらいあってもいい気がする。
そんなことを思って口を尖らせていると、お母さんの後に続いて楓がキッチンから出てきた。
案の定、両手には茶碗が握られている。
「良かった。」
そう言って微笑む、楓の顔と声がとても優しかった。
茶碗をテーブルに置いて、私の方に歩いてくる。
入れ替わりで葵がキッチンに向かい、夕飯の準備の手伝いをしていた。
そっと私の横に腰を下ろし、ポンポンと優しく頭を撫でる。
「大丈夫?」
家族が誰1人言ってくれない心配の言葉を、楓が言ってくれるとは……
ていうか、ナチュラルに優しい楓。
格好良いよぅ。
もう満足、倒れて良かった。
なんて思ったら罰当たりかな。