#恋·恋
「あ、ドリンク好きなの頼んでいいよ。ひとみちゃん未成年だからノンアルがいいね。何飲みたい?」
そう言ってメニューを取り出し、ノンアルメニューのページを開き渡してきた。
『…烏龍茶でお願いします」
一番に目が止まった烏龍茶を挙げると、茶髪はテーブルに置かれたベルを押しすぐ様現れた黒服に頼んだ。
『ありがとうございます』
一応、お礼を伝えておく。
「どういたしまして。てかひとみちゃん凄い落ち着いてて大人びてるよね。未成年て聞いた時は驚いたよ」
にこにこしながら話しかけてくれる茶髪に対し、黒髪─…オーナーは全く話さず、ずっと煙草を吸うかお酒を飲んでいる。
元々無口な人なんだな
『…よく言われます』
「今学生…?」
『はい。大学1年生です』
「どこの大学通ってるの?」
すごい聞いてくるな…
あまり自分の話をするのは好きじゃない
『……三渓大学です』
でもこれも仕事
「三渓って有名な国立大じゃん。ひとみちゃん頭いいんだね。…じゃあ、この店に来たのは学費を稼ぐ為?」
学費じゃない
生活費且つ留学費用を稼ぐ為
別にこの人たちに本当のことを言う気は無いので、適当に答える。
『はい。』
「そうなんだ、大変だね。ちなみに今って彼氏いるの?」
次は恋愛話か
『いません』
汗をかいたオーナーのグラスを拭きながら答えた。
「そうなんだ。どのくらいいないの?」
『19年間です』
隠す必要もないので素直に答えた。
「…ブッえ!?っ、ひとみちゃん1度もいたことないの!?」
茶髪はグラスに口をつけたが、私の発言に驚き少しお酒を吹き出した。
『はい』
ポーチから別のハンカチを取り出し、茶髪に渡す。