#恋·恋
「あ、ありがとう…ちなみに今好きな人は、?」
『いません』
淡々と答えるけど、だんだん面倒くさくなってきた…
とりあえず届いたお茶を手に取り流し込む。
「どういう人がタイプなの?」
『タイプ…?』
グラスをテーブルに置く手を止め、もう一度聞き返した。
「そう、好きなタイプ。どんな人が好き?」
……好きな人がいたことがない私にとって自分の好きなタイプというのは一体何なのか
そんなの考えたことがない
『……ちゃんと自分を持ってる人、ですかね』
私の中で大事だと思うものを挙げてみた
「自分を持ってる…?」
『はい。周りに流されず、しっかりと自分の意思を貫き通す人が好きです』
「へぇー、そうなんだ。外見は?」
『特に何も。……お2人はお付き合いされてる方いないんですか?』
さっきから私にばっか質問する茶髪に同じような質問を返す
彼らの恋愛事情なんて全く興味ないけどこれ以上詮索されたくないから話の話題を私から遠ざける
「んーいないね。俺も生まれてから1度もいた事ないなあ」
『そうなんですか。…オーナーさんは?』
さっきから一言も発さないオーナーに投げかけた。
「………オーナーじゃねえ」
『……は?』
相変わらず無表情な口から出てきた言葉に思わず素っ頓狂な声が出てしまった。
てかえ、オーナーじゃないの?
さっき満島さんと椿さんがオーナーはこの人だと教えてくれた
違うの?
「…―――蓮」
顔がゆっくりと私に向く。
『?』
「名前で呼んでってことだよ」
お互い見据え合う状態のなかオーナーの謎な発言に首を傾げてたら茶髪が教えてくれた。
ああ、そういう事か
『れんさん』
「呼び捨てでいい」
『れん…?』
「敬語もいらねぇ」
『………。』