#恋·恋
蓮から離れるよう後退りで部屋に戻る。
が、。
細いピンヒールがドレスの裾を踏んでしまい、よろめいてしまった。
『あっ……』
やばい。後ろに倒れる、
後ろのテーブルに頭を打つ覚悟で目を瞑り、痛みを覚悟した。
……………………
……………?
だけど痛みは来ず、感じたのは煙草と柑橘系の香り、そして人肌。
――スッ
目を開けると、目の前に蓮がいた。
「――――大丈夫か?」
さっきまでの無表情ではなく、少し焦ったような表情と声で私に尋ねる。
『……っ大丈夫、ごめん』
そう言って起き上がろうとする――
ヒョイッ
え?
いきなり私の身体が軽くなった。
『何してんの』
蓮を鋭く睨む。
「…………」
『降ろして』
俗に言うお姫様抱っこというものをされてしまった。