まさか…結婚サギ?
結愛たちに圧倒されたのか
「じゃあ、俺はこれで」
と渉は去っていく。

「で、で?」
「なーに話してたの~」
結愛がツンツンとつついてくる。

「昔話ですよ…」
「より戻そうとか?」
「…」
「花村ちゃんはほんとに分かりやすいね」
黙りこんだ、由梨に結愛はからかう。

「でも、良い雰囲気だったよ?白石先生と花村さん。ねぇ?」
「うんうん」
「でも、彼氏がいるって言いましたから」

「可愛い子はいいね。細いのにおっぱいもちゃんとあるって所も、かなり羨ましいぞ」
結愛は可愛らしいサイズの胸を気にしてる。胸を触られて由梨はきゃっと声をあげた。

「確かに、わりとちゃんとあるよね」
白衣はわりと胸があると目立つ服になっている。
「エロい」
「え、エロって」
夏菜子に言われて由梨は胸を押さえた。

「今日もまだ残ってるじゃない?そこにマーキングのあと」
「の、残ってないです」

あ、と言ってしまってから頬を押さえる。にやにやとされてしまう。

「そ、それよりお二人はどうなんですか?合コンの後とか」
「まあ、慎一とは時々遊びにいく感じかな。良い子だしね」
「悠太はちょっと子供っぽすぎかなぁ。遊んでそうだしね」
うーん、と結愛が言う。

「で、結局ダメ男と…って私、人の事構ってる場合じゃないよね」
結愛が珍しくため息をついた。

「あ、そうだ。みて、マンションのカタログ」
夏菜子がそう言ってカタログを広げる。

「見て、頑張れば、私にも買える」
「へぇ…いやいや、でも買っちゃうと結婚遠ざかりそうな気がしない?」
「だけどさ、男なんてあてになる?梅崎さん」
「…ならないね…うん。ならないわ、その通りだわ、私も考えよ。そして、いつでもあいつを追い出してやる」

「そう、そのいきよ!」

由梨はマンションのカタログを手に取った。
「これ…ほとんどファミリー向けですよね」
「そうだよ~だから、貸せるんでしょ」
「水川さん、現実的…」
「なんでよ、看護師なんて大概みんなそうでしょ?こうして、恋ばなしててもさ、恋だけじゃ生きていけないしね」

「花村さんなんてさ、衛看でしょ。えらいよね15やそこらでこの道を選ぶなんて」
「いえ…単に就職に困らないかなぁ、って」
「やだ、花村さんもやっぱり、現実的じゃない」
「そう。ですね」

「だいたいさ、すごいイケメンエリートと付き合ってて、がっつかないってかなり現実的な証拠だと思うわ」

「そうだよね、恋人がいても仕事が手についてるなんてそういうことだよね」

二人に笑われて由梨はそうかな...と思わず考えこんだ。

1つの懸念、渉がいやがらせをしている可能性が消えた事が...ホッとしてもいたし、しかし全くわからなくなった相手がまた不安を大きくさせた。

< 58 / 82 >

この作品をシェア

pagetop