嘘つき天使へ、愛をこめて
「……でも」
どうしても、踏み切れない。
なぜなら勘づかれる可能性があるから。
最近では誤魔化しきれないほどに、症状が表に出てきている。
いつまでも貧血だとか風邪だとか言って誤魔化せるようなものじゃない。
「サリちゃん」
顔を俯けていると柊真があたしを呼んだ。
その穏やかで優しい声音に、おずおずと顔をあげる。
「不安に思うのもわかる。屋敷に来るってことは、野郎の中に無防備で飛び込んで行くようなもんだ。でもな、副総長としてこれだけは約束する。サリちゃんの身は必ず、守る。胡蝶蘭の名誉をかけてな」
「どうして、そこまで……」
声が震えた。
柊真は目を細めて、雅を、そしてメンバーを順に見て最後にあたしを見つめる。