嘘つき天使へ、愛をこめて
「おはようございます」
「う、うっす……え?」
「お、おん、女?あれ、今なんか幻が……」
なにやら頭を抱えてぶつくさ言いだしたので、これ以上は関わるまいともう一度頭を下げて、その横を通り過ぎる。
一足制のため、上履きを履き替える必要がない。
なんか普通にガラスの破片とか落ちてるのかと思っていたけど、校内は意外と綺麗なものだった。
さすが異質な族メンバーたちが通う学校。
ふうんと感心しながら、職員室へと向かう。
途中、背後に気配を感じたけれど、襲ってくる感じではなかったのでとりあえず気付かないふりをした。
今からなにか怪しまれるとのちのち面倒だ。
「失礼します」
軽くノックをしてから、躊躇うことなくガラッと職員室の扉を開ける。
中へ入れば、突然現れた女子高生に驚いたのか、そこにいた数人の教師たちから一斉に視線が注がれた。