別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「どうして朝美さんの部屋まで行ったの? 話し合いをするなら外でも良かったんじゃないの?」

「朝美が本当に引越して来ているのか確かめたかったんだ。それから今後関わって来ない様に強く言うつもりだったから。朝美とは今後一切関わる気は無いけど、人目のあるところで攻めて、恥をかかせたくなかった」

「そっか……奏人は優しいね」

酷い別れ方をした相手のことを気遣ってあげるなんて。

私としては少し複雑だけど。

もう何もないと信じているけど、やっぱり嫉妬してしまう。私ってこんなに独占欲強かったのかな?


「用を済ませて直ぐ部屋を出たから滞在は十分くらい。二度と行かないからもう気にするなよ?」

奏人は私の嫉妬心に気付いているのか、安心させようとしてくれているみたいだ。

「うん。それで朝美さんは本当に越して来ていたの? 今後は追いかけないと約束してくれた?」

「越して来ていることは確かだ」

「この近辺で奏人をよく見かけるから越して来たんでしょ? 凄い行動力だよね」

ただ、この町にあるのは奏人の家じゃなくて、私のアパートなんだけど。

行動力はあるのに調査力が無かったのかな。
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