別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
滝島課長は、私達の様子を観察しているようだ。

神経質そうな視線に、私は何を言われるのかと、ビクビクしながら立ち上がる。

ああ、よりにもよって滝島課長に見つかってしまうなんて、最悪。

「中瀬君、これは何の騒ぎだ?」

早速追及されてしまう。

その声は、私を責める気満々のような感じを受ける厳しいもの。

そうじゃなくても、同じ会社の社員が、道で変な人に絡まれているのを助けに来た訳じゃないことだけは確か。

「彼女は中瀬君の知り合いか?」

その質問にはすぐさま答える。

「いえ、知り合いじゃありません」

朝美さんが睨んで来ているのを感じたけど、知らないふりをする。

滝島課長は眉間にシワを寄せながら、私から朝美さんに視線を移して言う。

「こんな所で騒いでは他の人の迷惑だ」

狂気じみた表情の朝美さんにも、何の躊躇いもなく辛辣な台詞をはけるのは凄いと思う。

だけど朝美さんも負けずに言い返した。

「迷惑をかけらてるのは私のほうです。この女が奏人に付きまとうから」

ま、まずい!

何かと奏人を嫌っている滝島課長の前で、名前を出すなんて。

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