嘘つきには甘い言葉を
また肩に腕が回され、その上耳元で甘い囁きが響いた。
「そんなことより、初めてはお前の家がいい? それとも俺の家に来る?」

龍君と和香の目の前で何てこと言うのっ。
耳が熱くて俯いたら、そっと髪をかきあげられた。
「この寒いのに顔赤いけど?」

……人のことまたからかって。
恥ずかしいのに、嫌じゃない。
私完全に、隼人さんにハマってる。

「龍、和香ちゃん。
今日はサンキュ。桜が早く二人っきりになりたいって言うから、俺たち行くわ。じゃあな」
「そ、そんなこと言ってないし」

慌てて否定したけど、和香と龍君は苦笑いして「はいはい、じゃあねー」と背を向ける。
うう……恥ずかしい……。
「もう、隼人さんの馬鹿……」

頭をぐしゃぐしゃってされて、私たちはまた強く手を握り合った。
恋人つなぎ。こんなの初めてだね。
駅前のスーパーで買い物して、ちょっと高級なワインなんかも買っちゃう。
行先は、初めての場所。

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