ポイントカードはお持ちですか?

「咲里亜ちゃんも、課長がいい人紹介してくれたんだって?」

「は?なんで奈美さんまで知ってるんですか?」

「課長が言ってたからね」

ちょっとーーーーー!あのじじい!
しっかり口止めしておかないと!

「ゴリ押しされて一回会っただけです」

「ときめいた?」

「ときめきません!」

そうだ。
富樫さんはとてもいい人で素敵な人だったけど、私はちっともときめかなかった。

結婚へのリミットに焦り、伊月君から離れたい気持ちから、ちょっとズルくて魅力的な提案に流されていたけど、それで結婚を決めていいのだろうか。

「結婚相手ってどうやって決めるんでしょうか?」

奈美さんは少なくとも一度はその決断を下した先輩だ。

「人それぞれでしょうね。迷わず決めて後悔する人も、迷って決められないまま独身の人もいるし。でも迷うならやめた方がいいと思うわよ」

「そうですか?」

「心から想い合う相手と結婚してもうまくいくかどうかわからないのに、迷ってる相手なんて無理無理。失敗しても後悔しない相手を選ぶしかないと思う」

「後悔しない相手ってどうやったらわかるんですか?」

「好きな人でしょうね」

「えー!結局はそこですか?」

「それ以外何があるのよー」

ぐるっと回って元の位置。
疲労感だけがいや益す結果だ。

ぐったりしながらお財布を開いて、一万円しかなかったことを思い出す。
売店まで崩しに行くの面倒だなー。

チャリーンと音をさせて、奈美さんが100円玉を投下した。

「ココアくらい奢るわよ。その代わり今度ランチごちそうして」

「見事な提案ですね。了承しました。でもなんでココアってわかったんですか?」

「咲里亜ちゃんはいつもココアだからね。隣にいれば匂いでわかる」

「・・・そうでしたか」

なんだ。みんな知ってることだったのか。

本日2杯目のココア、ごちそうさまです。






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