ポイントカードはお持ちですか?
「咲里亜さん、すみません」
切り返して道を戻り始めてすぐ、伊月君が謝ってきた。
「謝らなくていいよ。仕事が入ったのも、土砂崩れが起きたのも伊月君のせいじゃないんだから」
ところが、伊月君は苦しそうな表情を変えない。
「ガソリンがありません。気づいていたけど、間に合うと思って言いませんでした」
「え!?あー!!本当だ!」
給油サインがピカピカ点滅している。
全っ然気づかなかった!
私は元々気づかない方で「あーいつの間に!」と毎回思うのだけど、通常は近いところにガソリンスタンドがあるので困ったことはない。
だけど今は違う。
「いつから点滅してた?」
「向かう途中・・・ですかね?正確なところはわかりません」
「給油サインが出てもかなり走れるって聞いたことある。どれくらい走れると思う?」
「俺も詳しくないので・・・。でもすでに1時間以上は走ってますよね。あと3時間は無理でしょう」
「・・・だよね」
私は運転を続けているので、伊月君が一番近いガソリンスタンドを検索してくれた。
山間の小さな集落に唯一あるガソリンスタンド。
閉店時間は19時だった。
「・・・どうする?」
20時を過ぎたところなのに、店員さんは一人もいない。
事務所も真っ暗。
通りを歩く人さえいない。