ハロウィン
「ハロッ!!ハロウィン!!アッハハハハハ!!ヒーハッハハハ!!ヒーヒーッ!!ゲゴッ!ガッ!アッハハハー!!」
「・・・・・うるせぇ」
俺は笑い転げている大きな黒犬を冷たい目で見据え見た。
その黒犬ははぁはぁ言いながら起き上がるとまた盛大に噴き出した。
全く失礼な馬鹿犬だ・・・。
まあ、コイツも純粋な犬ではないのだけれど・・・。
「あー悪い、悪い。・・・プッ!!」
「おい・・・」
思わずきつい声が出てしまったが気にする必要はないだろう。
そんなことを気にする相手でないことは十分、知っている。
「だってよぉ・・・面白いんだからしかたねえだろ?・・・何だよその耳!!」
犬の指摘に俺は大きな溜め息を吐き出した。
何だと?
それはこっちが聞きたいことだ。
先生はなぜ、この猫耳を俺に選んだ?
もっと他のものがあるだろうに・・・。
なぜ、猫耳だ・・・。
「おや?」
先生のその好奇な声に俺の心臓は嫌に高鳴った。
嗚呼、嫌な予感しかしない・・・。
「おやおや。やっぱりお似合いですね。私の思った通りだ」
「・・・何が思った通り何ですか?・・・これは嫌がらせですか?」
俺の苦情に先生は瞬いた。
嗚呼、本当にこの人は(人ではないけれど)質が悪い・・・。
「・・・何でもありません。・・・ちょっと畑に行ってきます」
俺はそう言って猫耳をわざとつけたまま先生が管理する畑へと向かった。