雪の日に祝福を…。
◇13◇ 愛の居場所
   


 人は、独りなんだって・・・・・・誰かが言っていた。

だから独りでもかまないって思っていたのにその気持ちを揺さぶったのは、2人の男。
 1人は結局独りだと思い知らせてくれた。

 もう1人は、縋りたくなる愛をくれた。
 今でも心の中には彼がいる。

 逢いたい気持ちが私を蝕んで壊していこうともけっして逢ったりしない。


  《 《


『おはよう、月依さん。』


「おはよう・・・・・・」


「若狭さん、気がつきましたね。安藤先生を呼んできます。」


 寝ぼけたような頭に言葉がこだまする。


「〝安・・・藤〟って!!」


 ベッドから飛び起きて窓の外を見る。
 見覚えの否、見慣れた景色が広がっている。


「若狭さん、安静にしていないと。」


 入って来るなり主治医は、注意をする。


「なんで・・・」


「意識を失って2日も昏睡していたからあちらの先生がこちらに搬送して下さった。」


 主治医の答えを訊いてフラフラとベットに座る。


「今日からはここで過ごしてもらう。まずは、検査をしよう。」


「検査なんかして何かあるんですか?」


「これからの緩和ケアの方針を決める。」


  
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