雪の日に祝福を…。
  


「まさか・・・相手の女って。」


 彼の後ろに妹がいた。華奢で守ってあげたくなるような可愛らしい子だ。


「なんで来た。俺が話すって言っただろう。」


「やっぱり自分で言わなくちゃ。」


「ちょっと待って。なんで知り合ったの?」


 接点が全く解らなかった。


「結婚式に出て欲しいって連絡があって話してるうちに私が好きなって。1度でいいって押し倒したの。1人で産むつもりだった。でも、ケジメつけるって言ってくれて。」


「はは、ミイラ取りがミイラになちゃったわけ。はは、悠葵。あなた私を馬鹿にしてるの?」


 悲しみよりも怒りに支配され始めた。


「瑠々。うまくやったわね。」


「やめろ。」


「あら、怒ったの?瑠々、気を付けなさいね。」


「えっ?」


「簡単に裏切る奴は、次も裏切るから。子供と二人で路頭に迷わないといいけど。」


「お姉ちゃん、酷い。」


「酷い?結婚式を1週間後に控えた姉から婚約者を寝取った女がよく言う。別れてあげる。お倖せに。」


 そう告げて人混みに消えていく。


 》 》


 私は、油断していた。
 本当に油断していた。


   
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