雪の日に祝福を…。
  


「なんで、泣いてるの?」


 頭を撫で彼女の涙の意味が解らず戸惑う。


「(なんでこんなに大変な子に落ちちゃったんだろう。)」


 後ろ向きな考えが頭の中をぐるぐる巡る。


「月依さん、好きだよ。」


「私も・・・。
(でもダメ・・・。あなたの倖せってなんなの?私でいいの?
 解らない・・・・・・。)」


「何があっても大好きだから。」


「ありがとう。」


 告げてゆっくり瞼を閉じた。


 》 》


 倖せを見つけたくてもがいていた。
 あの人は、私の全てを知っていた。だから圧力を掛けに来たのだ。

 あの人の言葉に従った訳じゃないけど彼を私に留めておくのがいいことだと思えなかった。

 私は、誰かを愛することに慣れていなかった。これが私の欠点だった。

 だから今でも彼には、逢えない。この窓の外に出ることはない。

 私の愛は、自己満足だ。解ってしまったのは、あなたに認められたとき。
 あなたにとって私が重荷になる日が来ることに気が付いてしまった。

 そしてあなたを簡単に遠ざけられる自分の心理に気が付いた。

 私の渇望していた愛は、自己満足を満たす愛だったのだ。


  
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