夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
〈回想シーン〉
【夢の配達人隠れ家/医療施設の個室】

自宅で倒れて数日。
あれからお腹に痛みもないし、状態も落ち着いていた。
担当に付いてくれたシュウさんの奥さんのホノカさんも、無理しなければ大丈夫って言ってくれたのに…。


「アカリ、何かしてほしい事…ねぇか?
…あ!食べたい物とか!俺何でも買ってくるぜ?」

ヴァロンは片時も、私の傍を離れないで居てくれた。
最初は単純に嬉しかったから甘える事にした。


「……じゃあ、手。
手を、ずっと繋いでて…///。」

私が差し出した手を、彼の大きな両手が包んでくれる。
ヴァロンが傍に居てくれるだけで良かった。
それだけで満たされた。


……けど。
ヴァロンの手が、普段より冷たい。
いつもより低い体温が…。
彼の迷いを、私に教えてくれた。
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